エルダーベリーは、セイヨウニワトコの果実で、古代から風邪やインフルエンザの自然療法として使用されてきました。
エルダーベリーとは
エルダーベリーは、セイヨウニワトコの果実で、古代から風邪やインフルエンザの自然療法として使用されてきました。濃い紫色の小さな果実には、アントシアニン(強力な抗酸化物質)、ビタミンC、食物繊維が。エルダーベリーの最も注目すべき特性は、強力な抗ウイルス作用です。
インフルエンザウイルスの増殖を抑制し、免疫細胞の活性を高めることで、風邪やインフルエンザの症状を2〜4日短縮し、重症度を軽減します。シロップ、トローチ、カプセル、グミとして広く利用されています。
主な効果・効能
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インフルエンザ症状の軽減:複数の研究で、エルダーベリーがインフルエンザの症状(発熱、頭痛、鼻水、咳)の期間を平均2〜4日短縮することが示されています。
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風邪の予防と治療:エルダーベリーは風邪の発症リスクを減少させ、発症した場合でも症状を軽減します。
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免疫機能の強化:エルダーベリーは免疫細胞(T細胞、B細胞、NK細胞)の活性を高め、感染症への抵抗力を向上させます。
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強力な抗酸化作用:アントシアニンとフラボノイドが豊富で、活性酸素を中和し、細胞を酸化ストレスから保護します。
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抗炎症作用:エルダーベリーは炎症性サイトカインのレベルを低下させ、慢性炎症を軽減します。
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心血管疾患の予防:エルダーベリーはコレステロールと血圧を低下させ、心血管疾患のリスクを減少させる可能性があります。
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血糖値の調整:エルダーベリーはインスリン分泌を促進し、血糖値の上昇を抑制します。糖尿病管理に役立つ可能性があります。
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呼吸器感染症の予防:航空機旅行者において、エルダーベリーが呼吸器感染症のリスクを減少させることが研究で示されています。
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尿路感染症の予防:エルダーベリーは抗菌作用を持ち、尿路感染症の予防に役立つ可能性があります。
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皮膚の健康:抗酸化作用により、皮膚の老化を遅らせ、紫外線ダメージから保護します。
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便秘の改善:エルダーベリーは食物繊維が豊富で、腸の健康をサポートし、便秘を改善します。
推奨摂取量
エルダーベリーの推奨摂取量は、製品の形態と使用目的によって異なります。 【風邪 インフルエンザの予防】 エルダーベリーシロップ:1日1回、15ml(大さじ1) エルダーベリーカプセル:1日300〜600mg これを風邪 インフルエンザシーズン(秋〜冬)を通じて継続します。
【風邪 インフルエンザの治療】 症状が出始めたら、以下の用量に増やします: エルダーベリーシロップ:1日4回、15ml(合計60ml) エルダーベリーカプセル:1日4回、175mg(合計700mg) これを症状が治まるまで(通常3〜5日間)継続します。
【子供の場合】 2歳以上:エルダーベリーシロップ 1日2回、5〜7.5ml 6歳以上:エルダーベリーシロップ 1日2〜3回、10ml 12歳以上:大人と同量 エルダーベリーは空腹時でも満腹時でも摂取できますが、胃の不快感がある場合は食事と一緒に摂取してください。
科学的背景・エビデンス
エルダーベリー(西洋ニワトコの実)は、ヨーロッパで古くから風邪やインフルエンザの民間療法として使用されてきた果実で、アントシアニン、フラボノイド、ビタミンCなどの抗酸化物質を豊富に含んでいます。科学的な研究は1990年代から本格化し、特に抗ウイルス作用と免疫調節効果が注目されています。
エルダーベリーの作用機序は多面的です。アントシアニンを中心とするポリフェノール類は、ウイルスの細胞への侵入を阻害し、ウイルスの複製を抑制することが試験管内実験で確認されています。特にインフルエンザウイルスに対しては、ウイルス表面のヘマグルチニン(HA)を不活性化し、宿主細胞への結合を妨げることが報告されています。
また、サイトカインの産生調節により、過剰な炎症反応を抑えつつ、適切な免疫応答を促進する効果も示されています。 2019年のメタ解析では、エルダーベリー抽出物の補給が、上気道感染症の症状の持続期間を有意に短縮し(平均4日)、症状の重症度も軽減することが示されました。
イスラエルでの二重盲検プラセボ対照試験では、インフルエンザ様症状の発症から24時間以内にエルダーベリー抽出物を摂取した群は、プラセボ群と比較して、症状の改善が平均4日早く、解熱剤の使用も少なかったと報告されています。
これらの結果から、エルダーベリーは風邪やインフルエンザの初期段階での使用が特に効果的である可能性が示唆されています。 ただし、生の実は毒性があるため、必ず加熱処理されたサプリメントを選ぶことが重要です。
豊富に含まれる食品
エルダーベリー果実(生食は避ける、毒性がある)
エルダーベリーシロップ
エルダーベリージャム
エルダーベリージュース
エルダーベリーワイン
副作用・注意点
エルダーベリーは一般的に安全ですが、未調理の果実、葉、茎、根には毒性があり、吐き気、嘔吐、下痢を引き起こす可能性があります。市販のエルダーベリー製品は加熱処理されているため、安全です。 過剰摂取(推奨量の2倍以上)により、下痢、胃痛、吐き気が生じることがあります。
アレルギー反応(発疹、かゆみ、呼吸困難)は稀ですが、報告されています。エルダーベリーにアレルギーがある場合は使用を避けてください。 妊娠中 授乳中の安全性は十分に確立されていないため、医師と相談してください。
他の成分・医薬品との相互作用
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免疫抑制薬:エルダーベリーは免疫系を活性化するため、免疫抑制薬(臓器移植後、自己免疫疾患治療)の効果を弱める可能性があります。
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糖尿病治療薬:エルダーベリーは血糖値を下げる効果があるため、糖尿病薬と併用すると低血糖のリスクがあります。血糖値を定期的に監視してください。
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利尿薬:エルダーベリーは軽度の利尿作用を持つため、利尿薬と併用すると脱水のリスクが高まる可能性があります。
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降圧薬:エルダーベリーは血圧を下げる効果があるため、降圧薬と併用すると血圧が過度に低下する可能性があります。
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ビタミンC、亜鉛、エキナセア:これらの免疫サプリメントとエルダーベリーの併用は相乗効果があり、一般的に安全です。
よくある質問
Q. エルダーベリーは風邪とインフルエンザのどちらに効きますか?
エルダーベリーは、風邪とインフルエンザの両方に効果がありますが、特にインフルエンザに対して強力な効果を示します。 【インフルエンザに対する効果】 エルダーベリーの最も強力な効果は、インフルエンザウイルス(A型とB型)に対してです。
研究では、インフルエンザの症状が出始めてから48時間以内にエルダーベリーを摂取すると、症状の期間が平均4日間短縮されることが示されています。 また、発熱、頭痛、筋肉痛、鼻水などの症状の重症度も有意に軽減されます。
エルダーベリーの抗ウイルスメカニズムは、ウイルスが細胞に侵入するのを阻止し、ウイルスの増殖を抑制することです。特に、ヘマグルチニン(ウイルスの表面タンパク質)を不活性化することで、ウイルスが宿主細胞に結合するのを防ぎます。
【風邪に対する効果】 風邪(主にライノウイルスによる)に対しても、エルダーベリーは効果を示しますが、インフルエンザほど劇的ではありません。研究では、風邪の症状が1〜2日短縮され、症状の重症度が軽減されることが報告されています。
【予防効果】 エルダーベリーを風邪 インフルエンザシーズンを通じて予防的に摂取することで、発症リスクを減少させることも示されています。航空機旅行者を対象とした研究では、エルダーベリーを摂取したグループは、風邪の発症率が約50%減少しました。
【結論】 エルダーベリーは両方に効果がありますが、インフルエンザに対して特に強力です。症状が出始めたら即座に摂取することで、最大の効果が得られます。
Q. エルダーベリーシロップとカプセル、どちらが効果的ですか?
エルダーベリーシロップとカプセルは、どちらも効果的ですが、それぞれに利点と欠点があります。 【エルダーベリーシロップ】 利点: - 吸収が速い:液体形態のため、体内への吸収が早く、効果の発現が速い可能性があります。
- 喉を直接コーティング:シロップが喉を通る際、抗炎症作用と鎮静作用により、喉の痛みを軽減します。 - 子供に適している:甘くて美味しいため、子供が喜んで摂取します。 - 研究で最も使用されている:多くの臨床試験でシロップが使用されており、効果が実証されています。
欠点: - 糖分が多い:多くのシロップには砂糖やハチミツが含まれ、糖尿病患者やカロリーを制限している方には不向きです。 - 保存期間が短い:開封後は冷蔵保存が必要で、数週間以内に使い切る必要があります。
- 持ち運びに不便:液体のため、旅行時の携帯が難しいです。 【エルダーベリーカプセル】 利点: - 糖分がない:糖尿病患者やケトジェニックダイエット中の方に適しています。 - 保存が容易:常温で長期保存が可能です。
- 持ち運びに便利:旅行やオフィスでの使用に適しています。 - 用量が正確:各カプセルに一定量のエルダーベリー抽出物が含まれています。 欠点: - 喉への直接作用がない:カプセルは胃で溶けるため、喉の痛みへの局所的な効果は期待できません。
- 吸収がやや遅い:カプセルが溶けるまで時間がかかるため、効果の発現がシロップより遅い可能性があります。 【結論】 急性症状(インフルエンザ、風邪)の治療には、即効性のあるシロップが適しています。予防目的や長期使用には、保存が容易で糖分のないカプセルが適しています。
子供にはシロップ、大人はどちらでも効果的です。
Q. エルダーベリーはいつから飲み始めるべきですか?予防に効果がありますか?
エルダーベリーは、予防と治療の両方で効果的であり、摂取タイミングによって使用方法が異なります。 【予防的使用】 風邪 インフルエンザシーズン(通常10月〜3月)が始まる前、または始まった直後から摂取を開始します。
研究では、エルダーベリーを予防的に摂取することで、感染症のリスクが約50%減少することが示されています。 予防用量: - エルダーベリーシロップ:1日1回、15ml - エルダーベリーカプセル:1日300〜600mg これをシーズンを通じて継続します。
特に、免疫力が低下しやすい時期(ストレスが多い、睡眠不足、旅行中)には特に有効です。 【治療的使用】 症状が出始めた瞬間(喉の違和感、鼻水、倦怠感など)に即座に摂取を開始します。研究では、症状発現から48時間以内にエルダーベリーを摂取すると、最大の効果が得られることが示されています。
治療用量(症状が出たら): - エルダーベリーシロップ:1日4回、15ml - エルダーベリーカプセル:1日4回、175mg これを症状が治まるまで(通常3〜5日間)継続します。 【高リスク状況】 以下の状況では、予防的な摂取が特に推奨されます: - 航空機旅行(密閉空間での感染リスク) - 大勢の人が集まるイベント - 家族や同僚が風邪をひいている - 季節の変わり目(免疫力が低下しやすい) 【結論】 エルダーベリーは予防と治療の両方で効果的です。
シーズン前から予防的に摂取し、症状が出たら即座に治療用量に増やすことで、最大の効果が得られます。
Q. エルダーベリーは自己免疫疾患の人でも安全ですか?
エルダーベリーは免疫系を活性化するため、自己免疫疾患を持つ方は注意が必要です。この問題について詳しく説明します。 【自己免疫疾患とエルダーベリー】 自己免疫疾患(関節リウマチ、多発性硬化症、全身性エリテマトーデス、1型糖尿病など)は、免疫系が誤って自己の組織を攻撃する状態です。
エルダーベリーは免疫細胞(T細胞、B細胞、NK細胞)を活性化し、サイトカインの産生を増加させるため、理論的には自己免疫反応を悪化させる可能性があります。 【科学的証拠】 現時点では、エルダーベリーが自己免疫疾患を悪化させるという明確な証拠はありません。
しかし、十分な研究も行われていないため、安全性が確立されているわけでもありません。 【専門家の推奨】 多くの専門家は、自己免疫疾患を持つ方に対して、エルダーベリーの長期使用を避け、短期使用のみにすることを推奨しています。
推奨される使用方法: 1. 予防的な長期使用は避ける 2. 急性感染症(インフルエンザ、風邪)の治療時のみ、短期間(3〜5日間)使用する 3. 使用前に必ず医師と相談する 4. 症状の変化(関節痛の悪化、発疹の増加など)に注意し、悪化した場合は即座に中止する 【免疫抑制薬との相互作用】 自己免疫疾患の治療で免疫抑制薬(メトトレキサート、シクロスポリン、アザチオプリンなど)を服用している場合、エルダーベリーがこれらの薬の効果を弱める可能性があります。
併用は医師の監督のもとでのみ行ってください。 【代替案】 よ免疫系を過剰に刺激しないビタミンD、亜鉛、プロバイオティクスなどのサプリメントの方が適している場合があります。 【結論】 自己免疫疾患を持つ方は、エルダーベリーの使用前に必ず医師と相談してください。
短期使用であれば安全な可能性が高いですが、長期予防的使用は避けるべきです。
Q. エルダーベリーと亜鉛、ビタミンCを一緒に摂っても大丈夫ですか?
エルダーベリーと亜鉛、ビタミンCの併用は、相乗効果があり、一般的に安全です。これらは異なるメカニズムで免疫系をサポートするため、組み合わせることでより包括的な免疫強化が期待できます。 【それぞれの役割】 - エルダーベリー:抗ウイルス作用、免疫細胞の活性化 - 亜鉛:免疫細胞の発達と機能、ウイルス増殖の抑制 - ビタミンC:白血球の機能強化、抗酸化作用、風邪の期間短縮 【相乗効果】 研究では、これらの成分を組み合わせることで、単独使用よりも効果が高まることが示されています。
特に、風邪やインフルエンザの初期症状が出た際に、3つを同時に摂取することで、症状の期間と重症度が最も効果的に軽減されます。 【推奨される組み合わせ】 【予防時】 - エルダーベリー:300〜600mg/日 - 亜鉛:15〜30mg/日 - ビタミンC:500〜1000mg/日 【風邪 インフルエンザ治療時】 - エルダーベリー:1日4回、175mg(合計700mg) - 亜鉛:1日75〜100mg(トローチ推奨、症状が出てから24時間以内に開始) - ビタミンC:1日2000〜3000mg(分割摂取) これを症状が治まるまで(3〜7日間)継続します。
【注意事項】 1. 亜鉛の長期高用量使用(40mg以上を数週間以上)は、銅の吸収を阻害するため避けてください。 2. ビタミンCの高用量(3000mg以上)は、胃の不快感や下痢を引き起こす可能性があります。
3. エルダーベリーは適量であれば問題ありませんが、過剰摂取は避けてください。 【結論】 エルダーベリー、亜鉛、ビタミンCの組み合わせは、免疫システムを多方面からサポートし、風邪やインフルエンザの予防と治療に非常に効果的です。
適切な用量であれば、併用は安全で推奨されます。